ビタミンDの話
新型コロナウイルスの重症患者にビタミンD不足の傾向があることを示す研究結果がアメリカの研究所から発表され、ドラッグストアではビタミンDのサプリメントが飛ぶように売れているそうです。
Scientists link vitamin D deficiencies to higher COVID-19 mortality rates
ビタミンDには免疫を調節する働きがあり、かぜやインフルエンザ、気管支炎や肺炎などの感染症の発症・悪化の予防にも関与することが分かっています。また、骨や筋肉の強化にも欠かせないため、高齢者や更年期以降の女性を骨粗しょう症から守ります。
ビタミンDを多く含む食品の代表が青魚やきのこ類であることから、青魚やきのこを日常的に食べている日本人や、サーモンやにしんを日常的に食べているノルウェー人やデンマーク人に比較的重症患者が少ないことも、ビタミンD信奉に拍車をかけています。
とはいえ新型コロナウイルスは単純な感染症ではないですし、効果を過信して高濃度のビタミンを摂取することのほうがリスクが高い気がします。
ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため過剰摂取による健康障害が知られており、摂取しすぎると腎機能障害や食欲不振、嘔吐、神経の興奮性の亢進などの症状が現れます。
ビタミン剤に頼るよりも、日光浴と食事から毎日適度に摂取することのほうが理想的です。
ちなみに筆者には免疫の病気があるので多くのアレルギーを抱えており、花粉症やアトピーの症状がひどい時には、ビタミンDの錠剤を飲むことで症状が軽減します。(効果には個人差があると思います)
ただ主治医はビタミン剤に慢性的に頼ることは良くないと仰っているので、普段は食品と日光浴で摂るように心がけています。
どちらにしても、食品と日光浴でビタミンDを摂取することは、全ての方に、そして特に高齢のかたにおすすめです
日光浴が良いとなるとフランス人は大喜びですが、浴びすぎても駄目で、フランスの春・夏で20-30分程度、冬は2時間程度が最適とされています。
強い夏の日差しで30分以上日光浴をすることは、肌にダメージを与えアトピー等の皮膚疾患を悪化させますから、午後5時以降程度の日差しが理想的だと言われています。
そういう意味では、この外出期間中の19時以降に1時間程度の外出をするだけでもビタミンDの摂取には充分なんですね。日差しが出ない日が続いた時は、食品から摂取することをこころがけましょう。
<ビタミンDを効果的に摂取しましょう・レシピのご紹介>
ビタミンDは油に溶けるビタミンなので、揚げ物や炒め物など、油と一緒に調理することで効率よく取り入れることができます。
ビタミンDを多く含む食品は、ビタミンD2では、きくらげ、本しめじ、しいたけなどのきのこ類に、ビタミンD3では、あんこう、いわし、にしん、さけなどの魚介類に豊富に含まれていますし、卵黄やバターなどにも含まれます。
ビタミンDの働きと1日の摂取量
フランスでは干ししいたけは、日本食品店や中国食品店、Bioの店舗などにもありますが、いいものはやはり高価です。それに比べると乾燥きくらげは、中国食品店で安価に入手できます。また Poissonnerie に行けば新鮮ないわしや hareng と書かれたにしんの酢漬け、新鮮なサーモンなどが手に入ります。
ビタミンDが豊富でひとり暮らしでもササッと作れる、きくらげの卵とじ、オイルサーディン丼、鮭のバター焼きのレシピをご紹介します。
きくらげの卵とじ (乾燥きくらげを水でもどしたもので代用できます)
オイルサーディン丼
鮭のバター焼き
骨粗しょう症予防のためには、ビタミンDと一緒にカルシウムとビタミンKを摂ることが推奨されています。
カルシウムは乳製品の豊富なフランスでは簡単に摂取できますし、ビタミンKを効果的に摂るにはブロッコリーのにんにく炒めなどが栄養価が高くておすすめです。
♦カルシウム
牛乳・乳製品、小魚、干しエビ、小松菜、チンゲン菜、大豆製品など
※ 骨粗しょう症や骨折予防のためのカルシウムの摂取推奨量は、1日700~800㎎です。
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-ca.html
♦ビタミンK
納豆、ホウレン草、小松菜、ニラ、ブロッコリー、サニーレタス、キャベツなど
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-k.html