鍼灸師のよもやま話(12)/ 岩本みずえ acupunctrice 鍼灸師
中医学には季節それぞれに関わる臓器があるという事は、このコラムに目を通して下さっている方にはご理解頂けていると思います。
春は、自然界の芽吹き、開花の動力のごとく、一斉に陽の気が活発になります。この現象は全ての人に当てはまる事で、「肝(かん)」の気が異常亢進し、疲弊しやすくなってしまいます。実際、ここ最近肝気が原因だなと思う症状を訴えられる方が多いです。イライラ、落ち着かない、ソワソワとしたりという小さな感情的な自覚症状から、中には不眠、入眠障害、耳鳴り、胃酸などの様な顕著に「肝」の自律神経調整機能が乱れてしまい、「気」が滞ることによって起こる症状を感じられる方もあるかもしれません。リラックスさせる食材は去年お伝えしてありますが、酸味、エグ味のある旬の食材が効果を発揮します。簡単に見つけられて押しやすいツボ、そしてお身体の部分を今年はお伝えします。まず、期門というツボが第6、7肋骨の間にあります。簡単に探すと乳頭から手のひら真っ直ぐ下がったあたりです。
厳密にというよりは中央胸骨下から横腹まで触れる肋骨上を時計反対回りに中央から外側へと優しくマッサージしてみて下さい。針の操作にも時計回りその逆回りの手法があるのですが、左回り、つまり時計も針の逆回りは多すぎる物を取り除く瀉法として用いられます。この横隔膜の辺りに気が滞り易くなるので、その気を流してあげるイメージで行ってみてください。ここを緩めるだけでも十分ですが、神門という手首のしわ、小指側の腱の内側にあるツボも刺激してみてください。ここは副交感神経を優位にするツボです。また手の指それぞれの爪の左右付け根も一緒に刺激するとよりリラックスできます。
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プロフィール : 岩本みずえ acupunctrice 鍼灸師
UFPMC(Union Française des Professionnels de Médecine Traditionnelle Chinoise
フランス中医学連合会) 所属、国際中医医師鍼灸師免許所持、パリ13区にて開業中。