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フランス砂漠から肌と心の潤いを守る術 / Dr.MANA


『フランス砂漠から肌と心の潤いを守る術』
 ―うるもち肌のコツはぬる湯と睡眠から―
心浮き立つ春となりましたが、そちらの体感ではまだ忍ぶ春。一体何が違うのか3月のパリと東京の気候を比べてみました。平均気温8℃と9℃、最高-最低は12℃-3℃と13℃-6℃で大きな違いはありません。しかし降雨量は12.8mmと117.5mmとなって圧倒的、つまりはモイスチャーの差なのです。日本の春は雨の季節です。立春の後の二十四節気は雨水、降っていた雪が雨に変り雪解けが始まります。立夏の前は穀雨、やわらかな雨が種蒔きのときを告げます。
詩人は楊貴妃の美しさを「梨花一枝春雨を帯ぶ」と称えました。“水も滴る”は「美男美女のつやつやとして色気のあるさま」と言われます。水も滴るいい女を仏語ではなんと言えばいいのでしょう? 日本的色気は“濡れ感”なのかもしれません。濡れた肌はもちろん、濡れた瞳も唇もすべてがセンシュアルで魅惑的です。
そんな日本でも冬は乾燥します。ことに関東地方はカラカラの空っ風で、みんな保湿対策に大わらわとなります。ましてフランスはユーラシア大陸の西の果て。大陸性気候で年間を通して乾燥しています。以下の文章は日本でご提案した保湿対策ですが、少しでも皆様のご参考になってお役に立てれば嬉しい限りです。

まだ肌寒い季節、ことにワインを嗜んだ夜の就寝前など、脛(すね:下腿前面)あたりが痒くて粉を吹いたようになったりしていませんか? ひどくなると赤くなって湿疹ができます。病名は「皮脂欠乏性湿疹」。乾燥しがち地域や環境にいる方なら、若い人でもよくなります。かつて私も毎年冬となると、この足カイカイは悩まされました。しかし生活習慣をちょっと改善したら「なんだ、こんなもの」と解放されました。

では、私Dr.MANAの、唯我独尊「乾燥肌克服うるもち肌実現」入浴法を公開いたします。
39〜40度のぬる湯に20分間(無理なら10〜15分)浸かって、ぐっすり寝る
① 熱いお湯は、ヒートショックの危険があり、必要以上に皮膚の皮脂を奪いますから、必ずぬる湯にしてください。
② 重炭酸とクエン酸のホットタブがあれば鬼に金棒ですが、なければ、乾燥肌用や敏感肌用の入浴剤を使ってください。
③ 身体の汚れは10分ほど浸かれば、余分な角質と一緒に自然に剥がれ流されます。ボディソープを使うなら優しい成分のもので、ごく短時間にホワッと洗ってください。ナイロンタイルで全身丹念にゴシゴシは絶対禁止です。乾燥を加速化するだけではなく、ナイロンタオル皮膚炎を起こして色素沈着となる危険があります。

私は、この入浴法を反復実践するようになってから、湯上りの全身保湿ケアが不要になりました。フランスの乾燥具合を鑑みますと、入浴後に保湿剤入りのボディローションを、肌がしっとりしているうちに塗れば十分と思います。ぬる湯の長湯で乾燥が防げる理由は、血行が良くなり、身体の体表面の隅々まで、栄養分が浸透し、肌を守る角層がしっかりと形成されるからです――フランスの場合、バスタブのないアパルトマンも多いと思います。その場合はシャワーから出る前に冷水を足にかけ、反動の体温アップを利用するのです。
湯治効果である心身のリラックスは深い睡眠をもたらします。夜間にたっぷりと各種ホルモンが分泌されて、肌のスムーズな再生を促進します。たとえば、脳下垂体からの成長ホルモンは細胞の修復を助け、線維芽細胞を刺激してコラーゲンの生成を促し、また松果体からのメラトニンは全身の細胞ターゲットに抗酸化作用を行きわたらせます。なにはともあれ、熟睡は百薬の長なのです!
いろんなホルモンの放出については、パートナーさんとの協働作業とあなたご自身のノウハウを尊重いたします。蛇足とは思いますが、食のケアもお忘れなく。皮膚の構成要素であるタンパク質、タンパク合成を助ける亜鉛、ビタミンエース(ACE)にビタミンB群、オメガ3、6系など。栄養バランスは重要事項です。

*こちらのコラムは、本日配信の日本人会会報「Journal Japon」にも掲載されています

Dr.MANAこと岩本麻奈 皮膚科専門医
→Dr.MANA 公式ブログ
https://ameblo.jp/dr-mana/
日本人会「いきいき健康サロン〜美肌の真実〜」2021年2月13日報告レポート

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