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片川会長からの新春のご挨拶

会員の皆様へ

明けましておめでとうございます。

地球上では依然として銃声や爆発音が鳴り響き、多くの人々が恐怖と混乱で慄くなか年が改まりました。
ウクライナ、ガザ、レバノンやシリアだけでなく、ミャンマーやスーダンでも戦火が絶えず、未だ解決の糸口すら見えない状況が続いています。これらの悲劇を目の当たりにしながら、私たちはどのような教訓を汲み取るべきでしょうか。

第一の教訓は、指導者がどんな誤った決断をしてもそれを誰も止めることができないという深刻な現実です。権力が極端に一人に集中することで、取り巻きの追従や沈黙が生じ、意思決定の過程から抑制と均衡が失われてしまいます。結果として、歪められた情報や都合の良い報告のみが上げられ、戦争回避や停戦への道筋がますます遠のくのです。また、本来ならば停戦や平和構築の場であるべき国連も、常任理事国間の対立により機能不全に陥っています。しかし、それでもいま国連を見限る余裕は人類社会にはありません。戦争は止められなくても食料や医療支援、戦争犯罪の監視といった重要な役割を担い、人々の苦痛を和らげるための手立ては、未だ国際社会の手中にあります。ガザやウクライナのようなまさに地獄の淵に立つ人々に、少しでも救いの手が届くことを願わずにはいられません。

第二の教訓は、戦争には常に憎悪や不信の積み重ねという背景があるという事実です。ウクライナへのロシアの違法な侵略は11年前から既に始まっており、パレスチナとイスラエルの間では長年にわたり壁やフェンスが築かれ、同じ人間として互いへの共感や理解の基盤が失われていました。このような憎悪の連鎖を断ち切るためには、私たち一人ひとりがその兆しに敏感であり、関心と関与を持つことが不可欠です。

私たちは、この地で温かな居場所を持ち、誰にも脅かされることなく新年を迎えられたことに心から感謝しなければなりません。そして「平和」であることの尊さを改めてかみしめると同時に、争いの芽を摘み取る努力を惜しまない一年としたいものです。

どのような時代においても、私たち一人ひとりにできることは、自分自身を見つめ直し、他者と協力しながら一歩ずつ前進することだと信じています。日本人会は、**「世界を変えたいのなら、まず自らがその変化となれ」**を胸に、今年もお互いを尊重し、支え合いながら、より良い日本人コミュニティと社会の構築に向けて努力を重ねていきましょう。

本年が皆様にとって平和と希望に満ちた一年となりますよう、心からお祈り申し上げます。

** “Be the change that you wish to see in the world.” Mahatma Gandhi

在仏日本人会 会長 片川喜代治