片川会長から新年のご挨拶
明けましておめでとうございます。令和三年の新春を迎えるに当たり、会員の皆様とそのご家族のこの一年のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。 昨年来、新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るい、数多くの尊い命が失われ、経済社会に未曽有の事態が生 じております。亡くなられた方々とその御家族に哀悼の意を表するとともに、罹患された方々並びに困難な状況におられる方々に心よりお見舞い申し上げます。また、同ウイルス感染終息に日々最前線でご尽力されておられる関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
さて、新型コロナウイルス感染症は、我々の社会の本質的な課題と弱点を可視化したのみならず、世界のパラダイムチェンジを加速し、めざすべき未来の輪郭を浮き上がらせています。ワクチンが普及する今年は、パンデミックの抑制とその災禍からの回復のために「国家を超えた協働」が必要であり、新たな世界のデザインを 模索する極めて重要な年ではないかと思うものです。
欧州連合は「Towards a green, digital and more resilient Europe」を実現する経済対策を発表しています。我が国も、デジタル社会、グリーン社会の実現をし、より強靭な国造りを目指すことを、首相が施政方針演説で明らかにしています。また今年の世界経済フォーラムのテーマは「The great reset グレートリセット」であり、世界は、コロナ禍に背中を押されて変化することを余儀なくされ、Covid-19 後のあるべき未来を構築するために経済的・社会的基盤のリセット、リカバリーを構想しています。
このような地球レベルの動きは引き続き目が離せませんが、それは各分野の専門家に任せるとして、この「リセット」という考え方は私が本会会長に就任して以来のテーマであります。2019 年 3 月にはサイトを全面的にリセットしました。今では頻繁に皆様にお届けするお知らせとともに会の情報発信の重要な役割を果たしています。特に昨年 3 月のコンフィンヌマン以降のページビューはこれまで 2 万/月を下回ったことがなく、ピーク月には 3 万に達する勢いでした。アクセスページで複数月トップを走ったのが「布マスクの正しいつけ方・外 し方・洗い方」であったのが印象的で、見事にコロナ世相を反映していました。又「お知らせ」につきましては、コンフィヌマン中は、ほぼ毎日のように様々な有用情報をコロナ関係を中心にお届し、多くの方々からお礼のお言葉をいただきました。お知らせとサイトの担当の方には、この場をお借りして、昼夜を問わぬそのご尽力に本会を代表して謝意と敬意の念を表します。
現事務所につきましても、昨年11月に労働局と消防局の検査を受け様々な改善事項を指摘されており、事務所のスペース問題含めてリセットする良い機会なのですが、財政負担の上昇が不可避となります。コンプライアンスに関わることでもあり、皆様のご協力とご理解を得ながら進めることになりますのでよろしくお願い申し上げます。
さて、コロナ感染が拡大する日本で、NHK 交響楽団は昨年 12 月末にベートーヴェンの「第9」コンサートを 4 回敢行しました。昨年は楽聖ベートーヴェンの生誕 250 年でした。交響曲に初めて合唱を入れた「第 9」 は、「密」を避ける感染防止の意味ではふさわしいとは言えません。N 響は合唱団を 80 人から 40 人に減らし、マスクを外すのは本番だけとし、団員の間隔も前後左右 2 メートルから 1メートル空け格子状にして、オーケストラとの間にはアクリル板をおく対策を取ったようです。N響の「先行きの見えない時代を照らす、ベートーヴェンの不屈の精神」をコロナ禍の今こそ示したいという決意には拍手を送りたい。聴覚を失い、内臓疾患に苦しみながらも「第 9」 を完成させた楽聖。だからと言って、彼の曲は暗いまま終わることは決してなく、最後には 人々を希望や喜びの園に導いていきます。
「さあ、お互いに手を取りあって、歓喜の園へと進もう」と力強く歌い上げます。
「第9」は、1985 年には EU が統一の象徴として欧州連合賛歌として採用。
1989年にはベルリンの壁崩壊の記念コンサートで演奏されたのもこの「第9」。
更に2005年には愛・地球博でも演奏されました。
世界がこの人類レベルの危機を突き破り、「歓喜」の叫びを上げる日が来ることを、皆様と一緒に楽しみに待ちたいと思います。そして「国家や人種を超えた連帯」の象徴である「平和の祭典」、東京五輪・パラリンピックが、日本の人知を結集しコロナ後も見据えた「革新的祭典」としてこの夏開催に漕ぎつけることを願ってやみません。
引き続き本会の目指すべき将来像の実現に向けて皆様とともに考え、行動する一年としたく思います。
令和3年 1 月吉日
片川喜代治
在仏日本人会会長