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フランス歴史散歩道 / 沈没船(1)/ ミッシェル・ブリュノー / n°285

M デンマークの哲学者キルケゴール(Kierkegaard)*を知っていますか?
E 名前を聞いたことがありますが、哲学はわたしにとって難し過ぎます。
M 確かにキルケゴールのペンネームで書いた作品は、わかりにくいです。
E そして最近はあまり話題になりません。
M 実は、私はキルケゴールの専門家ではありません。
E ではどうしてキルケゴールの話をするのですか。
M キルケゴールがペンネームを使わないで、自分の名前で書いた作品の中の、一つのたとえ話を紹介したいからです。
E ­たとえ話ならわかりやすいでしょう。
M そのたとえ話を読んだときにとても感動しました。簡単に紹介します。タイタニック号の沈没に似ている話です。
E キルケゴールはその沈没を知っていましたか。。
M もちろん知りませんでした。タイタニック号の沈没は1912年に起こりましたが、キルケゴールは1813年に生まれて1855年に42歳で若くして亡くなりました。
E それにタイタニック号の沈没はとても有名になったのは1997年です。人気映画のおかげです。
M キルケゴールのたとえ話を簡単に紹介します。巨大なクルーズ船を想像してください。豪華な立派な船、乗客は何千人も乗っています。

夜はコンサートが行われています。みんなは食べたり、飲んだり、踊ったりして遊興にふけっています。
甲板に船長が立っています。地平線を見てとても心配しています。恐ろしい嵐が来て大変な夜になるでしょう。
E 確かにタイタニック号の話に似ています。
M でもキルケゴールはもう一つのバージョンを想像します。
船長は乗客と一緒に遊んでいます。
乗客の中の一人だけが危険を察知します。その乗客は船長に話しますが、船長は無視します。
キルケゴールのたとえ話はこう終わります。
確かに恐ろしい夜は近づきます。
私は危険を感じる乗客です。船長の権限を持っていませんから、誰も私の話を聞いてくれません。
E そのたとえ話は私達の時代に合っていると思いますか?
M はい、合っているとおもいます。一人の友人は、その危険を強く感じてパリを離れて今田舎で生活しています。
E どうやって生活していますか。
M 次回その話を続けましょう。

*セーレン・オービエ・キルケゴール (1813年〜1855年) デンマークの哲学者、神学者。実存主義の先駆とされ、現代の思想、文学に大きな影響を与えた。著書⎡不安の概念⎦(1844年)、⎡死に至る病⎦(1849年)など。
(写真はwikipediaより転載)

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