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第二回「ユーモアもまた自己維持のための闘いにおける心の武器である・・・」藤堂史恵(Psychologue)

「ユーモアもまた自己維持のための闘いにおける心の武器である。ユーモアとは、知られているように、ほんの数秒間でも、周囲から距離をとり、状況に打ちひしがれないために、人間という存在にそなわっているなにかなのだ。」
『夜と霧』V・E・フランクル
* お笑いをこよなく愛する心理士が、このエッセイを通して、少しずつ皆様に、すでに医学的に証明されていて、沢山の情報が巷で紹介されている笑いの効果を、「笑い」を交えながらお伝えしようと思います。皆様自身が努めて笑い、そして周りの方とも一緒に笑い、皆で笑いの輪を広げて、少しでも充実したフランス生活ができるようお役にたてればと思っております。

温かった秋から、一気に寒い冬に突入しました。(南を除く)フランスの冬と言ったら、やはり、「寒い・(雨で)冷たい・太陽が無い・みんなイライラギスギスしてる」それによって、とばっちりを受けて、自分も落ち込む、ことだと思います。ほんと、嫌な季節ですよね。
フランスに長く暮らしていらっしゃる方は、「ルミノテラピー」を実行したり、ビタミンを普段より多く取ったり、何かしらの対策を立てて冬の鬱に備えているのではないでしょうか?
冬になると、突然気が狂ったようにヒステリーになる、いわゆるフランス映画に出てくるような「フランス女」にも一杯出会うことと思います。実際暮らしてみると、実はフランス女だけでなく、「フランス男」もかなりなもんです。幼少の頃から、(自分の気持ちよりも)お友達の事を思いやる訓練を受けて来た日本人にとっては、思った事をそのまま言う「Putain!」「Connard!」な〜んて、20年近くこちらに住んでいてもなかなか言えないものです。
私が信号を守って、横断歩道を渡ろうとしていたのに、信号無視をして突っ込んできた自転車男が、「Quand même, il faut regarder autour de vous !(それでも、ちゃんと周りを見ろよ!)」と言いながら走り去って行った時には、私の口はあんぐり。でも反射的に、「OH ! EH !」とだけ、彼の背中に向けて意味の無い奇声を発することだけはできて、私も随分と成長したなーと、嬉しかったです。あれも冬だったなー。
さて、腹が立つこと満載のフランス・冬の陣ですが、どのように対処すればいいのでしょうか?
まずは、怒っている状態とはどの様な変化を身体に起こすのでしょうか?怒ると(闘争と逃走の神経の)交感神経が優位になり、神経伝達物質であるアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されます。戦う準備(または逃げる準備)が完了です。すると呼吸が早くなり、心拍数が上がり、血圧が上がって、早口になります。
ただ、これが続くと、心血管疾患(心臓病や脳卒中)になる可能性が高くなり、食べ物・タバコ・アルコール・麻薬の摂取量が増えていきます。怒っていると周りの人が近づかなくなるので、孤立しやすく、自己評価の低下も招きます。
なので、怒っている人は、自分の中で色んな悪いものを自ら作り出しているのです。決して、あなたは、この縁起の悪いプレゼント(ストレスホルモン)をもらって自分の心の中で開いてはいけないのです。こういう人は「放っておくのに限る」のです。かつての日産の社長カルロス・ゴーンが「社内改革において抵抗勢力にどう対応すべきか」と質問されて、こう答えました。「Just ignore them.(ただ無視するのみ)」ある精神科医は、「のれんをくぐるようにやり過ごす」という人もいました。決してまともに食らってはいけないのです。
でも、むしゃくしゃするときもあるでしょう。そういう時は、深呼吸をしましょう。深く息を吐く方に注意をして深呼吸をすると、副交換神経を優位にして、リラックスすることができます。深く深呼吸している間に、6秒が過ぎ、強い怒りのピークをやり過ごすことができます。
そして、上記のV・E・フランクルが言うように、この出来事をどうやってユーモアに変えるか知恵を絞るのです。彼はオーストリアの精神科医、心理学者であり、ホロコーストの生還者です。その彼がこう言うのですから、大抵の怒りはユーモアでカバーできると思います。
(もし、あなたがある特定の人に、深い怒りや恨みがあった場合は、心理士にお話することをお勧めします。)
笑いの効果ミニ知識
笑っている時は、(闘争と逃走の神経)交感神経と(リラックスの神経)副交感神経この2つの神経がバランス良く働いている状態になります。
笑いには「ストレスホルモン」とも呼ばれる「コルチゾール」の値を下げる効果があるので、ストレスの影響を軽減します。不安や緊張感を和らげ、心身をリラックスさせることができます。
笑うことで、幸福感をもたらす効果があり、モルヒネの数倍の鎮痛作用もある「エンドルフィン」という脳内物質が分泌されますよ。
理不尽な腹立たしい事も、無視して、笑いでふっとばしましょう!
La psy qui rit お勧めお笑い芸人・番組
コメディアン・俳優 高田純次さん
75歳という歳でありながら、あそこまで適当でいながら、ずっと第一線で活躍できているのが凄い!
あの適当さが良いのです。
高田純次さんの名言
「やっぱり人間は難しい事に挑戦したほうが良いと思うよ。
俺は嫌だけど。」
「フルーツポンチを逆さまに読むと、チンポツールフなんだ。
逆さまに読む必要もないけど。」

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藤堂史恵 (とうどう ふみえ)プロフィール 
Psychologue
パリ第13大学にてPsychologueの資格を取得
パリ第11大学にて マインドフルネスの資格を取得

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