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第五回「無駄な一日。それは笑いのない日である。」藤堂史恵(Psychologue)

無駄な一日。それは笑いのない日である。
俳優、映画監督、脚本家、映画プロデューサー、作曲家 
チャーリー・チャップリン 

* お笑いをこよなく愛する心理士が、このエッセイを通して、少しずつ皆様に、すでに医学的に証明されていて、沢山の情報が巷で紹介されている笑いの効果を、「笑い」を交えながらお伝えしようと思います。皆様自身が努めて笑い、そして周りの方とも一緒に笑い、皆で笑いの輪を広げて、少しでも充実したフランス生活ができるようお役にたてればと思っております。

笑う方ではなくて、笑わす方の芸人さんは、普段真面目な方が多いと聞きます。その上、人気者になると、超多忙で寝れなくなり、身体に無理をして、皆の期待に真面目に応えようとして、心と身体のバランスを崩し、パニック障害や、鬱になる方も少なからずいらっしゃいます。
かくいう私も(芸人ではありませんが)、若かりし頃、超多忙な仕事量、不規則な食事、通勤に往復3時間かかり、仕事の内容でも、なかなか自分の要望が叶わず、ある日、「プチっ」と何かが切れた感じがして、たった3日間だけでしたが、出社拒否になったことがありました。
2日間部屋で体育座りをして夕日を浴び、これじゃまずいと思い、3日目に信頼できる人生の先輩に話を聞いてもらい、ありがたくも、そこで勇気と希望を湧き上がらせることができ、職場に戻ることができました。この危機を乗り越え、追加の新プロジェクトに参加し、沢山の尊敬できる先輩に会うことができました。これらの経験のお陰で今の自分があると思っています。
自分の話を聞いてもらい、本当に救われるという思いを何度もして、自分の辛い気持を話すことの大切さを自ら知ることができて、今この仕事に就いているのだと思う今日の頃です。

La psy qui rit お勧めお笑い芸人・番組
中川家
数々のお笑いの賞を受賞している、吉本の劇場でトリを取るような、ベテラン兄弟漫才コンビ。お兄さんの剛さんは、真面目で、周囲の期待に答えようと頑張り、忙しく仕事をする中で、パニック障害になりました。人ごみに入ると呼吸が出来なくなったり、何度も漫才中に、「死んでしまうのではないか」という恐怖を感じて、舞台からはけてしまい、弟の礼二さんが一人で喋って漫才を終わらせたそうです。
当初は弟の礼二さんにも、自分の苦しみを伝えられなかったそうで、一度は芸人を辞める決意をした剛さん。しかし、薬を飲みながら、少しずつ自分の病気を周りに伝え、師匠方からも「真剣にやるような仕事じゃないから、気楽にやれ(坂田師匠)」と受け止めてもらい、少しずつ回復していきます。そして、第一回 M-1グランプリで中川家は優勝を果たしました。冗談かもしれませんが、未だに収録が長くなると、剛さんは「薬飲まなあかんから」と言って皆を笑わせています。
明石家さんまさんとの明石家定食(お決まりの掛け合い)「東大阪の岩本さん(礼二さん)」「教習所の犬(剛さん)」「中国語の通訳・『寸法合わへんやないか!』(兄弟)」は絶品。剛さんは「さんまの観察メモ」を作成して、お笑い怪獣、さんまさんをいじったりするのも得意なのです。

笑いの効果ミニ知識
免疫力アップ 2
第一回で、“笑い”がNK細胞を活性化し、免疫力が高まるとお伝えしましたが、逆に、悲しみやストレスなどマイナスの情報を受け取ると、今度は、NK細胞の働きは鈍くなって免疫力もパワーダウンしてしまいます。ただ、免疫力は強すぎても、免疫システムが体に悪い影響のある物質だけでなく自分自身の体まで攻撃してしまいます。
”笑い”にはこうした免疫システム全体のバランスを整える効果があることが、実験で明らになっています。つまり大いに笑えば、身体の抵抗力が高まり、同時に免疫異常の改善にも繋がるのです。

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藤堂史恵 (とうどう ふみえ)プロフィール
Psychologue
パリ第13大学にてPsychologueの資格を取得
パリ第11大学にて マインドフルネスの資格を取得

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