鍼灸師のよもやま話(4)/ 岩本みずえ acupunctrice 鍼灸師
ヨーロッパ生活の体感として、春は、四季の中で一番「気」が乱れやすい季節 だと感じます。 冬の間の「陰」の要素が少しずつ減り、「陽」の要素である日射量が一気に増え、 花々が咲き、一斉に芽吹く木々、自然界の陰陽バランスの変化は、私たちにも影 響を及ぼします。
春は「肝」に相当します。春は「肝」が活性化し、冬のあいだに溜め込んだ老 廃物や脂肪などを一気に解毒しようとし、疲弊しやすくなります。肝内に貯蔵さ れているはずの「血」が急に不足することで精神的に安定せず、イライラや不眠、 気持ちの揺らぎなどが生じやすくなったり、めぐりが滞ることで肩こりや筋が つりやすくなったりしがちです。 また、急激な気の上昇は「血」を体の上部に溢れ出して停滞を引き起こしやすく、 頭痛や鼻詰まり、めまいやふらつきなどの「上半身の症状」が出やすくなるのも 肝の過度な活性化の為です。。花粉症もこの「肝」の乱れに由来するものではな いかと捉えられています。
酢や柑橘系の果物、梅干し等の酸味は肝の気を和らげます。 そして旬の野菜や果物、春菊やたけのこ、セロリ、菜の花、ごぼう、アスパラガ ス、小松菜、さくらんぼ等を取り入れて、乱れを整えてみて下さい。
オーガニックショップ店頭にも春のデトックスとして並ぶ、pissenlit (タンポポの葉)やアーティチョークのサラダや radis noir(黒大根)の酢の物、boldo (レモ ングラスの葉に似た植物)のハーブティ等も使って、豊かに食卓を彩ってみてく ださい。
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プロフィール : 岩本みずえ acupunctrice 鍼灸師
UFPMC(Union Française des Professionnels de Médecine Traditionnelle Chinoise
フランス中医学連合会) 所属、国際中医医師鍼灸師免許所持、パリ13区にて開業中。