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10月オンラインいきいき健康サロン 「胃がんのお話し」

いきいき健康サロンのご報告です。バカンス中にも関わらずたくさんのご参加ありがとうございました。
以下が簡単なまとめになります。

▪️袴田 光治医師「知っていますかピロリ菌〜胃がんは予防できる病気です」

・ピロリ菌とは胃の粘膜に住み着くらせん状の細菌(正式名helicobacter pulori)。
・オーストラリアのウォーレンとマーシャルという二人の医師によって1982年に発見された。
・コッホの四原則(感染症の病原体を特定する際の指針)に基づいて、胃炎を起こしているピロリ菌の存在を証明した。
・ピロリ菌は胃炎だけでなく胃がんなど、他の多くに疾患にも関係している(ただし陽性者が胃癌になるのは3%程度)。
幼少期における親から子供への食べ物の口移しによって感染するケースが多いと考えられている。
・幼児は胃酸が弱いためピロリ菌に感染しやすく、大人はほとんど感染しない、親子間感染はするが夫婦間感染はないとされている。
つまり成人になって陰性を確認した場合は再検査は基本的に不要。
・日本でピロリ菌感染率の低下に成功している(年代が下がるほど感染率が低い)
・ピロリ菌の検査方法は、胃カメラを使用する検査と胃カメラを使用しない検査(血液の抗体検査、尿素呼気法など)に大別。
・ピロリ菌がいる場合は特に、胃カメラでの粘膜所見が非常に大事。
・ピロリ菌がいなかった人は、胃がん検診は3年に一度で十分。
ただし高齢者や大酒飲み、酒を飲むとすぐ顔が赤くなる、喫煙者など食道がんのリスクが高い人は2年に一度程度の検査をした方がいい。
・ピロリ菌の除菌は、胃酸を抑える薬と2種類の抗生物質を一週間飲んで駆除する。
・ピロリ菌の除菌検査の結果は、2、3ヶ月開けて尿素呼気法で検査する。
・ピロリ菌の除菌ができても、萎縮性胃炎の症状が改善するまでは毎年胃カメラの検査をした方が良い。
・ピロリ菌の除菌によって胃潰瘍に抜群の効果がある。
・日本の胃がん診断、治療は世界トップ。日本のピロリ菌保菌者はフランスの約2倍、日本の胃がん5年生存率はフランスの約2,5倍。
しかし胃がん死亡率はフランスの3倍。これは日本とフランスのピロリ菌が異なる種類だから。
東アジア型のピロリ菌は発がん性の遺伝子変異を起こすタンパク質を持っている。
・中学生の年代にピロリ菌を検査して、陽性の場合は除菌することが効率良いがん予防になる。
・ピロリ菌検査を受けてない人はまずは検査を受けましょう。もし陽性なら除菌をし、家族も検査をうけましょう。

▪️犬塚美志(みゆき)氏「フランスでガンの宣告を受けてからの私の日仏医療での体験」

犬塚さんが今回のお話会で伝えたかったことを以下にまとめてくださいました。
~早期発見の大切さ&自分の体を知る~
・胃がんは欧米ではまれな病気です
・アジア人である自分の体を知って、不快な症状が続いたら検査をお勧めします
・胃がんは早期発見すれば今は治る病気です
・胃の不調の原因ががんになる前に行動(各種検査・ピロリ菌の除去等)をして欲しい
・胃の部分切除・全摘出になる前せめて内視鏡除去の可能性(ステージ0)のあるうちに
がんを見つけて欲しい
・がんは早期の段階では痛みはありません
・胃は切除したら大きくもならないし再生もしません
・術後は一生小さな胃と付き合っていきます
・定期健診のおすすめ
→特に仏ではいかに医師にこういう検査を早めにしてもらいたいと訴えるかが必要
・知識をつけていくことの大切さ
日仏医療のメリットデメリット
日本のメリット:高額医療保障制度がある。検査診察が早く進む、
母国語、日本人の体をよく知っている。胃腸器系は日本の方が進んでいる。
フランスのメリット:がんの告知から5年間医療が無料(主治医による登録が必要)
医療結果&医療リポートが全て貰える
フランスのデメリット
自分で各種検査等の予約が必要なため簡単に予約が取れなかったり分業制で別々の予約をいろいろと取ったりする必要がある。
※フランスも日本の医師も含め医療スタッフはプロでやさしい
治療法については患者ごとケースごとに違うと思いますが、基本的に両国とも国のスタンダードな治療法に沿うとのこと。日本とフランスでスタンダードが違うことがある。
セカンドオピニオンについて
日本でもフランスでも可能
日本 保険対象にならない
・各医療機関で料金は違う
・検査結果を持って行く → 再検査をしてもらえるわけではない
ピロリ菌検査について
正式名:ヘリコバクター・ピロリ菌(仏Helicobacter pylori)
主治医でも専門医でも必要であれば処方箋をもらって薬局でキットを購入しラボで検査 (尿素呼気試験)30分くらいで終わります
私の場合:内視鏡検査にて生検で陽性 → 除去薬を10日から2週間投与 → 2ヶ月以上空けて尿素呼気試験をラボにて(実際処方箋が有効な1年以内でいいとのこと)
※処方箋があればすべて保険対象になります
私は結果早期発見でしたので薬物治療などの知識はありません。でも、少しでも一人でも多くの方のがんの早期発見と健やかな毎日を送れる助けになれたらと思い自身の経験を今後もお話会にて伝えていきます。ご興味のある方はいつでもご連絡ください。
インスタ:miyuki_france e-mail : miyuki.inuzuka.francheteau@gmail.com

袴田先生、犬塚さん、大変役立つお話ありがとうございました。

追加情報
▶︎尿素呼吸法はフランス語で le test respiratoire à l’urée marquée といいます。

▶︎サロンの後、視聴者の方から以下のような貴重な体験記をお寄せ頂きました。
「参考までに、日本人夫は、10年前に、定期検査で大腸癌が見つかり、主治医に紹介されたパリの病院にて手術を受けました。
当時、夫は、その病院で腹腔鏡下手術を受けました。そして、大腸50㎝切除しました。が、手術前も出術後も抗がん剤を打っていませんし、手術後は、薬が1つも出ませんでした。最初、内視鏡?によるカット(=カメラの先にメスがついているような道具による手術)の予定が、取り切れないほど癌細胞が多く、急遽翌日に、腹腔鏡下手術になりました。麻酔医との面談も無く、その病院内で全て行い、入院も3日間のみでした。手術をしてくれたお医者様が、5年間定期的に検査してくれました。とても親切で良い先生にあたりました。感謝です。
又、保険で全てカバー出来ましたので、料金も無料でした。
夫の場合には、自分は本当に手術したのか?と言うほど体へのダメージが無かったようです。3日後の退院時もタクシーはいらないと、歩いてメトロで帰って来たほどです。
フランスでは、VillejuifにあるGustave Roussyが癌で一番良いそうです。が、なぜか、患者達の評価点数は低いです。」

やはり、がんの種類や病院によって対処法が違うみたいですね.
もしみなさまにも共有してよい体験記がありましたら送ってくださると嬉しいです。

折口志都
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JAPANESE KENKO SUPPORT
邦人健康サポートの会(日本語の話せる医療従事者ネットワーク)
メールアドレス:kenko-support@nihonjinkai.fr
ホームページ :https://zaifutsunihonjinkai.fr/activities/kenko-support/
フェイスブック:https://www.facebook.com/kenkosupport.fr/

袴田光治医師 プロフィール

1955年生 68歳 京都生まれの静岡市育ちです。東京医科大学卒業後、東京女子医科大学外科で6年間外科レジデントを勤めました。1987年静岡に戻り、静岡県立総合病院外科に勤務し、1995年実家である袴田外科に戻り現在まで100歳の父親と一緒に働いています。2016年から4年間静岡市静岡医師会長勤め、現在は外科整形外科開業医会会長をしています。趣味は下手ですがゴルフ、お酒は大好きです。

犬塚美志(みゆき)さん プロフィール

フランス在住22年、仏米のハーフの夫と大学生の娘二人の4人家族。
旅行会社やイベント運営会社勤務を経て現在はフリーで日系企業のフランス進出のお手伝いをしています。
私のフランス生活を通しての経験や日仏でのがん治療の経験を少しでも誰かの役に立てたらとカフェやオンラインでお話会を積極的に行っています。また地元愛知県西尾市の勝手に観光大使として西尾ツアーも毎年開催。母の認知症をきっかけに終活アドバイザー検定を受け合格。

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