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【会報/連載】フランス生活 養生訓 (3) / フランスで腸活!/ 小椎尾 真衣 / n°291

腸活という言葉、最近耳にする機会がとても増えましたね。腸活とは、腸内に存在する細菌の中で身体の健康を維持するために重要な役割を果たす「善玉菌」を増やすこと、つまり腸内環境を整えることです。
なぜ、腸内環境を整える必要があるのかというと、体内に入った食物は胃で分解され、各種栄養素やビタミン・ミネラルの大半は、小腸で吸収されます。また、水分などを吸収し、便を排出するのは大腸の働きです。つまり、腸が正常に働かなければ、どんなに身体に良い食物を摂っていても栄養は体に吸収されず、体外に排出されてしまうからなのです。
腸活の際に話題に上るのが、味噌や納豆、乳酸発酵をした昔ながらの漬物などの「発酵食品」です。でも、フランスでは日本のように簡単には発酵食品が手に入らないから、腸活は難しい・・・と考えていらっしゃいませんか?
今回はフランスに住んでいる私達でも簡単に取り入れられる腸活方法のお話です。
【フランスで腸活】
野菜と果物を意識して摂取する(理想は1日400g)
豆類(Légumineuses/Légumes secs)を意識して摂取する(最低週2回)
玄米や全粒粉、シリアルなどの皮がついている穀物を摂取する
ナッツ類を摂取する(1日1掴み程度)
ヨーグルト、チーズを食べる
農業大国のフランスでは、野菜や果物が比較的安価に手に入ります。野菜・果物や豆類には、オリゴ糖や食物繊維などの「プレバイオティクス」という成分が多く含まれています。プレバイオティクスは善玉菌のエサとなり、増やす作用があります。フランスでは果物2(160g):野菜3(240g)の割合での摂取が推奨されていますが、例えば、一日の食事で、バナナ1本(約120g)りんご半分(約50g)、ラタトゥイユ150g、野菜を使ったサラダや和え物120g これだけで400gの摂取が可能です。食事毎に野菜(果物含)の割合が全体の1/2を占めていれば確実に400gは摂取できていると考えて良いでしょう。
豆類はレンズ豆やひよこ豆、白インゲン豆など、フランスでも様々な種類を簡単に購入できます。水に浸けておくなどの手間を敬遠される方は、缶詰や冷凍豆をうまく活用して日常に取り入れることもできます。最近では10分で茹で上がる豆類のミックスなどもスーパーで売られていますので、これらをお米やスムール、パスタに混ぜて茹でて(炊いて)雑穀米のように使うこともできます。砂糖が入っていないシリアルや玄米、全粒粉などを使った穀類も食物繊維の観点からはとても優秀ですが、消化に負担がかかるのでよく噛んで食べるように心がけましょう。
ナッツ類はビタミン・ミネラル・食物繊維も豊富な優秀な食物。オメガ3などの上質な油脂ではあるのですが、たくさん含まれて(例:乾燥クルミ100g中67gが油脂)いますので、食べ過ぎには要注意。また、塩が入っているナッツ類やドライフルーツとのミックスナッツは塩分や糖分過多になってしまうこともありますので、「塩なしナッツ類のみを1日一掴み」が目安です。小腹が空いた時の間食にも適していますので、上手に活用しましょう。
乳製品の中でも、ヨーグルトやチーズはフランスならではの「発酵食品」です。これらには「プロバイオティクス」と呼ばれる健康に有用な作用をもたらす生きた善玉菌が含まれます。このプロバイオティクスは、腸に到達する前に胃酸などで死んでしまいますが、死んだ後の残りカスが腸内細菌の餌となり、身体に有用な作用をもたらしますので、日常的に継続して摂取することが好ましいと言われています。ただし、牛乳や乳製品を消化し難い方は、代わりにアルザス地方の郷土食であるシュークルトや自家製の白菜漬けなどの乳酸発酵した食物を食べることでプロバイオティクスを取り入れることもできます。
腸内細菌の状態を知るためには、日々の排便の状態を確認することが大切です。腸内環境が良い場合は、太めのソーセージやバナナ状で少しひび割れている、もしくは滑らかな、黄色から茶褐色の便で、繋がっているものが理想です。匂いはもちろんありますが、温泉地のような硫黄臭がする場合は腸内環境が悪い状態です。またコロコロした便や緩すぎる便も同様です。排便は日々の健康状態を確認できる大切な機会ですので、身体のサインを見逃さないでくださいね。

小椎尾 真衣(こじお まい)
Diététicienne-Nutritionniste /管理栄養士
インスタグラム
https://www.instagram.com/diet.japonaise/
(日々の食生活をゆるーり綴っています)

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