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医療現場の折口達志さんから皆様へのメッセージ

みなさま、こんにちは。

ただいまA総合病院の救急外来にて研修中の折口達志です。
自宅待機令実施から1日たちましたが、皆様どうお過ごしでしょうか。テレワークの方、変わらず現場でお仕事の方、ご家族と過ごされてる方、それぞれがこの状況と戦っていることと思います。

A院では2週間まえからCOVID-19陽性患者の処置を始め、先週から県でのCOVID-19受付の中心的な病院としてCOVID疑いの対応をしております。
1ヶ月前まではそういう方はほとんど来ず、B病院またはP病院の指示を仰ぐ形でしたが、先週の時点で1日平均50件のテスト実施、陽性患者の割合も爆発的に増えています。おとといはテストを行った約半分が陽性、集中治療の必要な患者が6人だったそうです。各科協力してなんとか陽性患者受け入れの病床を確保するために動いています。A院では集中治療の病床を15から20へ、呼吸内科、総合内科や老人医療科なども受け入れを開始しました。周辺の病院群の中にも陽性患者を受け入れる場所が出てきていますが、ほとんどの病院がまだ陰性の場合のみ転院可の状況です。昨日の時点で集中治療中の15人のうち13人が人工呼吸器を必要とし、救急外来にもそういう方の割合が増えてきています。比較的若い方、60歳前後の方達でも急に状態が悪化し、集中治療が必要に場合もあるようです。大半が高血圧、糖尿、肥満、慢性呼吸病など持病を患っているケースが多いですが、中にはそうでない方もいます。

救急外来では現在、入院が必要な方のみテストする形になりましたが、テストが実施される時間が固定されており、結果の待ち時間の間診察室が使えないという状況が慢性化しています。昨日の時点でも疑いのある患者を隔離できず、診察室を待つ間カーテンの後ろなどに配置するしかないという周りの人たちにうつしてしまう危険な状況が見受けられました。対処法の一手として、陽性患者のいる老人ホームなどのクラスターから来た方などは、陽性扱いとなりました。使い捨ての帽子、ガウンとエプロン、手袋、FFP2マスクを隔離された診察室に入るたびに着て、出るときに脱いで捨てないといけないため、医師による診察、看護師による経過観察などにかかる時間が倍増しています。そして一回使うごとに捨てなくてはならないので、これらの資源が足りなくなっている場所もあるそうです。

今受診される方たちは、発症してしばらくたち、悪化したケースが多いです。自宅待機実施前に感染そして発症された方達は、これから悪化し病院受診の必要性がでてくる恐れがあります。自宅待機の効果が出てくる数週間、これから医療現場はパンクしないように頑張らなくてはいけません。本当に症状が重く、すぐに処置が必要な方に集中するため、それ以外の方にはかかりつけ医に受診してもらうことが重要です。SAMU-15番をパンクさせないために、前述の症状が重い方、心筋梗塞や脳梗塞、これまでと同じく早急に処置する必要を疑われる方以外は、かかりつけ医での相談、COVID関連の質問などは情報窓口への電話をするように心がけていただきたいです。

僕のような医療従事者のみなさま、そしてそれ以外のみなみなさまも、これから悪化するであろう状況に、決してパニックにならず、情報共有など協力しながら対処し乗り切っていきましょう。手洗い、パソコン、スマホなどの消毒、咳が出る場合のマスク、話す時の安全距離、自分の身そしてご家族、そしてそれ以外の人のためにも、感染予防エチケットをこれまで以上に徹底しましょう。健康にいい食品、運動、その他の生活習慣すごくいいと思いますが、感染予防の努力をどうかおろそかにしないように願います。今回の経済的な打撃は計り知れないと思いますが、医療にとってはチャンスでもあります。これを機に人々が感染予防法と他人を思いやる心を学び、これからのインフルや風邪などの罹患者数が減ることを願います。正しい情報発信と共有の必要性と重要性、今回の件で顕著に浮き彫りになりました。人の心弱さ、身勝手な部分にため息が出る一方、結束力の素晴らしさには感嘆しております。体の不自由な方、小さい子供を置いて働かなければいけない方、自主的にそういった人たちのために動く方々を見ると、仕事だからとやっている自分が恥ずかしいです。

みなさま、どうかご自身の健康そしてご自分のための時間をおろそかにしないでください。趣味に費やしたり、ご家族と過ごしたり、そういった時間をどうか大切にご自愛ください。これからもフランスの邦人そしてそれ以外の方達のために、何かできるようになるため精進していきたいと思います。みなさま、これからもご協力の程どうぞよろしくお願いいたします。長文失礼いたしました。(3月18日午前)

ヴェルサイユ・サンコンタン大学医学部 研修医1年 折口達志