第十回「楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ」藤堂史恵（Psychologue）

楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ
ハーバード大学教授で心理学者･哲学者　ウィリアム･ジェームズ

* お笑いをこよなく愛する心理士が、このエッセイを通して、少しずつ皆様に、すでに医学的に証明されていて、沢山の情報が巷で紹介されている笑いの効果を、「笑い」を交えながらお伝えしようと思います。皆様自身が努めて笑い、そして周りの方とも一緒に笑い、皆で笑いの輪を広げて、少しでも充実したフランス生活ができるようお役にたてればと思っております。

年末に行われるM-１グランプリの一回戦が始まりました。YouTube上で見れる１回戦の上位組のヴィデオを見ながら、新しい人たちや、有名勢の漫才をチェックするのが楽しみな毎日を過ごしています。それ以外のいつもの日課、お笑い芸人のラジオ番組・好きな芸人のYouTube番組やテレビ番組をチェックすることも忘れていません。昨年日本に行った時は、新宿にある吉本本社にも赴き、外から眺めたりもしました。我ながら、「本当に私ってお笑い好きよね。」と思っていますし、これらの事は楽しくて全く苦では無いのです。心理学を１０年もフランス語で勉強できたのも、（もちろん苦手な科目はありましたが）やっぱり心理学が好きだったから。仕事でクライエントの方の話を沢山聞いていますが、その上、有名なお悩み相談サイトもチェックして、コメントまではしませんが、他の人からのコメントを受けて、どのように相談者が変っていくのかを読むのも大好き。行動遺伝学・教育心理学の専門家である慶応大学の安藤寿康名誉教授は、ソクラテスの言葉を借りて、「『自らの意思で行う努力・訓練』は、『才能』と『他者が与える教育』を超えることはあるかもしれないが、『他者が与える教育』は『自らの意思で行う努力・訓練』と『才能』を超えることはない。」と伝えています。好きな事に対する自らのモチベーションから始まった努力が、生まれつきの才能や、他者から押し付けられたもの（教育）を超えることはできるが、他者から押し付けられたものは決して好きなものや才能を超えることができない、という意味です。
これを読んでいらっしゃる皆様が、ご自分の好きな事を好きなだけして、満足し、後悔の無い人生を過ごせますように。

La psy qui rit お勧めお笑い芸人・番組
ハリウッドザコシショウ
誇張モノマネで有名なハリウッドザコシショウ。誇張し過ぎて全然原型をとどめていないのですが、とにかくばかばかしくておかしい。２度も所属事務所を変え、長い不遇時代を乗り越えて、2016年にはR-１グランプリで優勝を果たします。
また、10年以上に渡って、毎日自宅で自分の芸を録音し、動画配信を行っています。
吉本新喜劇の元座長、であり、毒舌キャラ・ピン芸人として有名な小籔千豊が、「ザコシ（ハリウッドザコシショウの事）は、自分が良いと思うものを貫いている。」と絶賛しています。
私もザコシのように、貫いて、突き抜けて、自分の人生を生き抜きたいものです。

笑いの効果ミニ知識
笑うことでストレスホルモンの分泌が減ることが確かめられ、笑いによって脳内神経伝達物質の「セロトニン」の分泌も活性化することがわかっています。これにより精神が安定し、うつ病などの発症を抑えやすくなります。

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藤堂史恵 （とうどう　ふみえ）プロフィール
Psychologue
パリ第13大学にてPsychologueの資格を取得
パリ第11大学にて　マインドフルネスの資格を取得