1. HOME
  2. トピックス
  3. コラム
  4. うんちのお話〜汚いなんてとんでもない!大切な健康のバロメーター〜/ 小椎尾 真衣(こじお まい)管理栄養士

うんちのお話〜汚いなんてとんでもない!大切な健康のバロメーター〜/ 小椎尾 真衣(こじお まい)管理栄養士


うんちのお話 〜・汚いなんてとんでもない!大切な健康のバロメーター・〜

みなさんは、今日はうんちが出ましたか?
また、前回うんちが出たのはいつでしょうか?

うんち(便)は、身体の健康状態を知ることができる大切なバロメーターです。便秘や下痢気味の方は、その原因が何であるのか、ご自身で把握することが大切です。
以下のチャートは、1997年にイギリスのブリストル王立診療所で臨床評価ツールとして開発され、腸のさまざまな疾患の治療効果を評価するために使われているものです。このチャートを使って、うんちの状態を確認してみましょう。理想のうんちはこのチャートの③〜⑤です。太めのソーセージやバナナ状で少しひび割れている、もしくは滑らかな、黄色から茶褐色の便で、繋がっているものです。匂いはもちろんありますが、ドブや硫黄のような嫌な匂いではありません。
便秘に該当するのは、①と②。便秘とは、便の量と頻度が減り、排便がスムーズにいかない状態のことです。便秘の要因には、「不規則な食事・生活」「食物繊維・水分・脂質などの摂取不足」「低栄養」「ビタミン欠乏症」「全身衰弱」「緊張・恐怖・悲しみなどの精神的要因」「神経障害」「浣腸や下剤の乱用」「体質」「職業性(便意があっても排便できない職業の人)」「便意を抑制する習慣」などがあります。個人差はあれど、排便回数が週3回以下で、かつ排便がスムーズでない方は、便秘と考えられます。半年以上続くような慢性的な便秘の方は、食生活やライフスタイルの改善で、疾病が原因とされる場合はその治療によって便秘を解消することができます。常習性便秘は、弛緩性便秘、痙攣性便秘、直腸性便秘に分かれます。まずは、便秘の原因を探しみてくださいね。
下痢に該当するのは、⑥と⑦。下痢とは、1日に3回以上の緩いまたは水様性の排便のことです。③〜⑤の正常便を1日3回以上排泄する場合や、母乳を飲んでいる赤ちゃんが出す「ドロドロとした便」は下痢には該当しません。急性の下痢症は一般的に腸管の感染症で、さまざまな細菌、ウイルス、寄生虫によって引き起こされます。急性下痢は脱水症状を引き起こしますので、下痢によって失われた水や電解質を補給できる経口補水液(SRO : Solutés de réhydratation orale、薬局で購入できます)を摂取するなどし、数日続く場合はかかりつけ医の診断を受けることが大切です。慢性の下痢は「サプリメントや薬剤の副作用」「過敏性腸症候群」(ストレスや自律神経失調などの原因で便通異常を引き起こす病気)「炎症性腸疾患」(クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患)などがあります。慢性的に下痢が続く場合もまずはお医者さんにかかり、原因を見つけることが先決です。
【はじめの一歩!食生活からのうん活アプローチ】
1. 食物繊維を含む食品を積極的に食べる
現代人の食生活は圧倒的に食物繊維が不足しています。フランスのPNNSでは30g /日、日本の厚生労働省では女性18g以上/日、男性21g以上/日が推奨されています。
食物繊維は野菜類・果物類・豆類・種実類・(皮付きの)穀類に多く含まれます。例えば、加熱済グリンピース100gで5,8g、加熱済ブロッコリー100gで4,3g、バナナ1本(120g)で2,7g、生いちじく約2個(100g)で4,5g、茹で小豆100gで11,6g、茹でレンズ豆100gで 8,5g、乾燥オーツ麦(Avoine)100gで10gなどです。
食物繊維には種類(水溶性・不溶性)があり、役割も異なります。また、玄米などは身体に合う方と合わない方に分かれる場合もあるようです。合わない食物繊維は体内にガスを発生させ逆効果となる場合もありますので、まずはご自身に合う食物繊維源を見つけることが大切です。そして、偏ったものばかり食べるのではなく、旬のものを取り入れながら色々な食物を食べることで、さまざまな食物繊維、栄養素を摂取することができます。
2. アルコール、コーヒー、香辛料などの刺激物は、「適度」な摂取を心がける
何でもほどほどに。アルコールは週2回の休肝日を儲ける、コーヒーは1日2〜3杯までを目安に。

3. 水分量を確保する
1日の目標水分量は男性で2,5L、女性で2Lです。(食品中水分、スープなど調理に使う水分含む)この数値だけ聞くと、かなりハードルが上がりますが、例えば水筒などにお水やハーブティー、お茶などを入れて、それを1日で飲み切る、ペットボトルを常に目の届くところに置いておく・・・など水分を意識して摂取できるように工夫してみてください。

4. 食事量を確保する
少ない量では、腸の運動が活発にならず、便秘になりがちとなります。少食の方は食事の回数を増やすなどし、食事量を確保し、うんちのかさを増やしてくださいね。
最後に、健康なうんちを出すためには、適度な運動をすることも大切です。また、ストレスは大敵!みなさんの身体は一人一人異なり、腸内細菌も異なれば、ライフスタイルも異なります。まずはご自身の心と身体を理解することが、健康なうんちを出すための近道かもしれません。

上記のことを参考にしていただいて、快腸快便な生活を送れますように!
出典元:
S.J.Lewis&K.W.Heaton,1997年,Stool Form Scale as a Useful Guide to Intestinal Transit Time
https://doi.org/10.3109/00365529709011203
L’assurance maladie (ameli.fr) « Constipation de l’adulte »
https://www.ameli.fr/assure/sante/themes/constipation-adulte/definition-symptomes-facteurs-favorisants
羽場亮太.便秘と食事.e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-010.html
Organisation mondiale de la Santé « Maladies diarrhéiques »
https://www.who.int/fr/news-room/fact-sheets/detail/diarrhoeal-disease
Ciqual
https://ciqual.anses.fr/

小椎尾 真衣(こじお まい): プロフィール
🇫🇷 Diététicienne-Nutritionniste 🇯🇵 管理栄養士
食いしん坊かつお酒も大好きで、2003年渡仏後(当初は長期休暇の予定・・・が)そのまま住み続けています。フランス、スイス各地で様々な職を経験するも、日本人と日本食の関係性と重要性を身を以って実感し、日本人の体でフランスの食生活にどのように適応していけるかを日々研究中。三児の母として食育にも力を注いでいます。栄養相談(Zoom可)・食育・料理レッスンなども随時受付中
📩  mai.restout@gmail.com

今後のトピックス

| コラム