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第1回「私がフランスで栄養士になった理由」n° 289 / 小椎尾 真衣(こじお まい)


フランス料理、フランス菓子、ワインも大好きなのに…以前と同じように食べていると、胃が苦しく、だんだん食べられなくなっていませんか?
みなさま、改めましてこんにちは。日本人会のサイトで3月よりコラムを書かせていただいている栄養士の小椎尾 真衣です。日本でも管理栄養士の資格を取得しましたが、全く活かすことなく、2003年に渡仏。食べること飲むことに目がない私は、スイス、フランス各地の引っ越しを経験した中で、欲望の赴くままに飲み食いし、子供を三人授かりました。ところが、二人目の子供を産んだ頃から、あんなに好きだったチーズ、乳製品やパンやケーキなどの小麦製品がどうもしっくりこないと感じるようになり、大好きなラクレットやチーズフォンデュなんぞを夜に食べようものなら、消化不良で睡眠不足、そして翌日は丸一日お腹が空かないほど…。渡仏当時はフランス式食生活で何ら問題なく生活でき、ワインもフランス各地の郷土料理も堪能していたのですが、年齢を重ねるにつれ私の意思とは関係なく、身体がお米を中心とした日本食を強く求めるようになりました。
日本人としての体を持ち、ある年齢まで日本で生活した後、フランスに渡りこちらの食生活を続けている場合、体のどこかに不具合が出てくるのではないか、もしくは多くの在仏日本人が日本食に回帰して身体のバランスを取っているのではないか、という疑問から始まり、嗜好と体型の違いとの関連性など様々な角度から改めて栄養学に興味が湧き、こちらのリール技術短期大学生物工学科(DUT Diététique)を卒業、Diététicienne-Nutritionniste の資格を取得しました。
栄養に関する情報は巷に溢れていて、○○が身体に良い、○○はあまり食べない方がよい、など、新たな情報を目にする機会が多々あります。ただ、一部にフォーカスして切り取った情報は、本当に正しく、ご自身の身体に合ったものなのでしょうか。
栄養士は、食品の栄養だけではなく、身体の構造と仕組みは解剖生理学で、栄養素の細胞レベルでの変化と代謝は生化学で学び、病態に応じて臨床栄養学に基づいた栄養指導を行うなど、幅広い知識が必要とされる職業です。
病気の症状は薬や外科的な手術などで治療することができますが、根本的な部分で改善しない限り、再発の恐れがあります。疾病原因の一つとなりうる、日々の食習慣を改善するとともに、二次、三次的な疾病予防のお手伝いをする…それが栄養士の仕事の一つでもあります。(これ以外にも外食産業や委託給食会社、スポーツ栄養、さまざまな食と健康に関わる仕事が存在します)
私は現在、短期間ながら公立病院で働いているのですが、経鼻経管栄養(口から食事が摂れない、または栄養摂取が不十分な方が胃や腸に直接チューブを挿入して栄養剤を注入する方法)を専門とするチームで新生児から高齢者までの幅広い年齢層の患者さんに接していて、「美味しいものを美味しいと食べられる健康な身体を持っていることは、当たり前のことではない」ということを改めて感じました。また、失ってから気づくのではなく、日々の心掛けとちょっとした工夫で、美味しいものを食べながらも健康を維持することが、一番の幸せではないかということ、医食同源という言葉の重みを実感しています。
厚生労働省が発表する最新データ、2019年の日本人の死因は1位 :悪性新生物(癌)、2位 :心疾患、3位 :老衰、4位 :脳血管系疾患、5位 :肺炎です。このうちの1・2・4位は、生活習慣病(成人病)と呼ばれる「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」が原因となる疾患です。
せっかく長生きできるのであれば、健康寿命を延ばしたいと誰しもが考えているとは思います。過度に恐怖を感じる必要は全くありませんが、心の片隅に置いておくことはとても大切です。では具体的に、フランスの生活ではどのように食生活で工夫していけるのかを、今後綴っていこうと思います。

小椎尾 真衣(こじお まい)
Diététicienne-Nutritionniste /管理栄養士
インスタグラム
https://www.instagram.com/diet.japonaise/
(日々の食生活をゆるーり綴っています)

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